

JR東日本企画
1988-04-01 創刊
65万部発行
フリーペーパーを「情報志向」と「娯楽志向」の2つに分類すると、前回取り上げた『タウンワーク』は前者の、この『トランヴェール』は後者の典型例だろう。
JR東日本管内の新幹線に乗車すると、もれなく読める。著名な文章家による巻頭エッセイから秘湯の紹介まで、JR宣伝のための雑誌だということを忘れそうになるほどの完成度を誇っている。
オリジナリティ溢れる特集記事は、毎号サブカルチャー的要素が満載だ。JR東日本管内の地域(東北が多い)における歴史・料理・工芸・風景など、“ここで読まなきゃどこでも読めない”ようなテーマをじっくりと紹介している。最近のテーマを見ても「みちのくの義経(2005年1月号)」「早春の鎌倉、古寺と歴史を巡る(同3月号)」「新潟ものづくり紀行(同4月号)」「みちのくディーゼルカー紀行(同5月号)」……。よくやるなぁ、といつも思っていたが、編集部いわく「特集記事は製作期間3カ月。テーマに合ったカメラマンを起用するなど、トランヴェールでしか得られない情報を提供するよう心掛けている」
とのこと。
ホントによくやるなぁ。
私事になるが、この雑誌を初めて読んだのは上京の新幹線の中だった。見送りの友人や家族に別れを告げ、1人で乗った新幹線。母校、通った店、窓から見える景色に感極まって、思わず足下を見たらポケットにこの雑誌が挿してあった。そんな出会いがあるからか、『トランヴェール』にはいつまでも、ノスタルジーを忘れないでいてほしいと思う。

写真 『トランヴェール』 2005年4月号

同年5月号