
「宇宙開発は非常に夢のある分野なんですが、その夢は夢に終わってはいけないんですよ」
宇宙についてこう語るのは、宇宙開発フォーラム(SDF)代表池澤龍太さん(慶大 4 年)だ。宇宙開発フォーラムは、宇宙開発についてのビジネスや政策に興味を持った数名の学生によって設立された。その思いを受け継いだ池澤さんは、こう語る。
「理系の大学では、ロケットを作ったり人工衛星を打ち上げている学生もいる。でも、宇宙を社会科学的な立場から見る団体はないんです。先行研究などもほとんどありませんし」
『宇宙は面白い』という単純な思いから始まった SDF も、その活動は本格的。『社会科学的な視点から宇宙を見る』『社会と学生とのネットワークの構築』『社会的な実績を出す』をコンセプトに掲げ、勉強会(週 1 回)とイベント(年 1 回)を行っている。イベントは日本科学未来館で 2 日間にわたって行う大規模なもので、内容も社会人による講演、宇宙ビジネスについてのグループワークショップ、パネルディスカッションなど多岐にわたる。昨年行われた「宇宙開発フォーラム 2004」のパネルディスカッションでは、大学教授や官僚に加えフランス国立宇宙研究センターの職員も参加し、国際色が豊かになった。
03 年、東京で開催された「第 18 回国際宇宙飛行士会議」の運営は宇宙開発フォーラムが行った。最近では大学の研究室から、ロケット打ち上げの際の法律的問題についてレポートを書く依頼なども入る。それも、彼らの「宇宙の社会科学的研究の珍しさ」ゆえだと言う。
SDF が宇宙について懸命なのには理由がある。日常で宇宙と聞くと、理系のもの。一橋大学も文系大学ということもあり、宇宙にはあまりなじみがないのが現状だ。「でも、日本の宇宙開発が行き詰っているのはやはり、技術だけで宇宙開発は成り立たないということがあってなんでしょうね」メンバーの荒堀真生子さん(東大 2 年)はそう語った。
そんな状況の中、SDF は理系と文系の壁を超越し「両方の窓口」となる姿勢をとっている。池澤は「自分たちももちろんプレイヤーですが」と断った上で、「社会科学にとっても、宇宙開発にとってもプラスになるような橋渡しがしたい」と意気高い。
SDF にも悩みはある。言うならば、「宇宙人」と「非宇宙人」のコンタクトだ。「宇宙人」とは、SDF 内の言葉で宇宙好きな人のことを指すが、「どうやって宇宙人じゃない人に、僕たちの活動を一言で伝えるかが問題ですね。宇宙人には伝わるんですけど。そうじゃないと大変。そういう意味では、広い視野だとかコミュニケーション・説明の能力は鍛えられますね」と語ってくれた。
「今は宇宙開発と安全保障っていうテーマが熱いですね。もともと宇宙開発は冷戦時の軍拡競争がきっかけなので、軍事的な側面が強い。日本もスパイ衛星、情報収集衛星を打ちあげましたけど、そのあたりのテーマは面白いですよね」
大学に入ってからの池澤は、宇宙漬けの日々。
「初めのころは国会議員のインターンとかやってて、ぜんぜん宇宙関係なかったんですけどね。今ではゼミも宇宙法のゼミに入って。宇宙で大学過ごすとは思わなかった」―そう彼らは「宇宙人」なのだ。
「宇宙業界はとても狭いんで、宇宙村って呼んでいます。でも、そこの住民にはなってはいけないんですよね。もちろんその住民とは仲良くさせて頂いているですが、その中の古い掟に縛られることはやりたくない。そういった掟を壊すのは俺らしかいないと。そういった宇宙分野に新しい風を、という気持ちはありますね」
「宇宙人」池澤のこの一言は鮮烈なイメージを放っている。
人類最後のフロンティア、宇宙。アームストロングが「偉大な一歩」を踏み出してから 36 年。宇宙開発フォーラムの挑戦は続く。
| 団体名 | 宇宙開発フォーラム実行委員会 |
|---|---|
| 代表 | 池澤龍太 |
| URI | http://www.sdfec.org/ |
| info@sdfec.org |