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ITはどこにいった? 第2回:SNS

――厳選した企業の採用担当者と学生が、顔と顔をあわせて互いの価値観を確認できる企業説明会です

大学で見かけた、こんなキャッチフレーズ。「顔と顔をあわせて」のところが強調されていた。 前回確認された「大学の IT 化」と、それによって必要とされる精神面での変化。 だが、変化はそこだけではない。人間社会の最も根本的な部分、「コミュニケーション」にまで IT の波が襲ってきている。メール、チャット、BBS 、メッセンジャー、ブログなど、IT は様々なコミュニケーションツールを生み出した。

だが最近、既存のツールとはまったく違ったコミュニケーションツール「 SNS 」が世界中に浸透している。 今回はその、咲きかけの SNS のつぼみを探してみた。

SNSとは

SNS とは、「 Social Networking Site (または Service )」の略。日本で有名な SNS は「 GREE 」と「 mixi 」だ(解説参照)。その GREE のサイトにはこうある。GREE は、あなたの友達をより深く知ったり、友達に自分の好きな本や音楽を紹介したり、自分の友達と友達を引き合わせたり、友達が自分を別の友達に引き合わせてくれたり、そんな自分の友達との交流サービスです』

SNS の利用者は、ひとりひとりが「プロフィール」という自分の紹介ページを持ち、知り合い同士、同じ趣味の者同士で互いにコミュニケーションを取る。また SNS は「招待制」、すなわち既に SNS に参加している人から「招待」してもらわないと登録できないシステムを導入していて、安心の空間を作っているのだ。

もともとこの SNS 、「地球上のどんな人とでも、5 名の友達を仲介すれば繋がることができる」という理論に着目したもの。友達の友達の友達の……と繋いでいけば、6 人目で全人類に到達する、つまり友達の友達はみんな友達だという発想から来ている。例えば、私から国連アナン事務総長まで友達で繋いでみよう。その場合、私→サークルの先輩→ゼミの先生(町村敬志教授)→(親戚の)町村外務大臣→アナン事務総長といった感じで、3 人を仲介することによってたどりついた。

解説【 GREE
04 年 2 月に始まった日本初の SNS。「楽天」に勤めていた、田中良和氏が海外の SNS に感動し、個人的に作ったのがはじまり。当初は個人運営だったが、04 年 11 月に株式会社化した。都心の有名企業・大学関係者が好んで用いている。登録者数 18 万人。

解説【 mixi
04 年 3 月に始まった、株式会社イー・マーキュリーが運営する SNS。web デザイナーなどクリエーターを中心に広まり、GREE よりも庶民的といったイメージで捉えられることが多い。登録者数は 4 月時点で 60 万人。

大学生のSNS

もちろん大学生も、その便利さ、真新しさに惹かれて多くの人が使用している。「 GREE 青山会」「 GREE 三田会」というオフ会兼同窓会を始め、GREE の「一橋大学商・法・経済・社会学部」というキーワード登録者も 700 人程いる。GREEmixi を活用しているサークル・ゼミもあるようだ。

大学生は SNS についてどんな印象を持っているのだろうか ? SNS を知って日の浅い 1 年生に聞いてみた。

インターネットでのコミュニケーションと言うと、「出会い系」で自殺とか、掲示板に犯罪予告とかあまり印象が良くないものだ。慶應大の学生は、「最初、ネットでコミュニケーションなんて引きこもりっぽくて、キモいと思った」SNS への本心を打ち明けてくれた。しかし、「名前を教えあっただけのつながりだけじゃ、希薄だから」SNS を利用しているそうだ。

東大の学生は、当初は「インターネットで、招待がないと登録できないなんてはじめて」と驚きを隠せなかったという。SNS に触れ、「日記とかレビューとか、ホームページ作るより楽そう」と思っていた彼女だったが、結局「クラスで使っている人がいない」という理由でやめてしまったとか。

では、大学生にとっての SNS の魅力はなんだろうか ? 様々な意見があったが、「初めて会った人でも、その人の人となりが判ること。そしてその人とずっと繋がっていること」一橋大 2 年)という意見が端的に SNS の魅力を表している。

また、SNS で人間関係を深められるのだろうか。GREE は、「あくまでも、学校・職場・イベント・家庭などの場で直接出会うのが先」「参加者同士の本格的な交流は、目的としていない」(開発者田中良和氏ブログ)といった事情もあり、積極的な出会いの場ではなく、あくまで知り合い同士のコミュニケーションだ。逆に mixi は、対面の交流とネットでの交流を繰り返して人脈を広げていく、といったスタンスで人気を集めている。どちらにしろ、SNS は現実世界での人との交流のサポートやきっかけを大きく増やしてくれるツールのようだ。

そんななか、今最も SNS が活用されているキャンパスは、慶應大学湘南藤沢キャンパス( SFC )だ。このキャンパスではクラスやサークルの名簿を作る代わりに、SNS のメールから掲示板まで揃った「多機能性」を活かしてコミュニティを作成し利用している。さすがはデジタルキャンパスといった感じだ。GREE の「 SFC 」キーワード登録数も学生数に較べて桁外れに多い。GREE がキャンパスに宣伝に来ている、との情報もある。やはり一年生の登録者数も多く、GREE では 6 月時点で 100 人以上の新 SFC 生が登録している。

ネットの革命児 "SNS"

SNS の「非匿名性」は、インターネットの歴史のなかでは極めて異質だ。日本の電子コミュニケーションの草分けは、「パソコン通信」という同趣味の人間による匿名のネットワークだが、ここでは自分のハンドルネームを持つことで、「名前(本名)はわからないけど、誰かはわかる」という形態のネットワークが形成されていた。その後、インターネットが発達するにつれ、多くの人が訪れる「巨大電子掲示板」(解説参照)が発達した。なかでも、規模の大きな電子掲示板では、名前・ハンドルネーム無しで書き込め、「名前はわからないし、誰かもわからない」ネットワークを発生させることとなった。日本のインターネットはこの時代が長く、この電子掲示板がネットの中心となっていた。

そんななか、SNS が現れる。SNS はこれまで述べた通り、「名前(本名)もわかるし、誰かもわかる」という日本インターネット史から見れば異質のネットワーク。自分のプロフィールページに自分の写真を載せることは、街で見かけただけで「こいつがどんなヤツか」もわかることを意味するのだ。特に大学生では、学校名・学部名、加えて名前を載せると、その人が誰なのかすぐ判ってしまう。一橋大学のような、学生数の少ない大学ではなおさらだ。

SNS は、ネットが持っていた匿名性を完全に否定した、ネットの常識の破壊者なのだ。

解説【電子掲示板】
BBS( Bulletin Board System )とも呼ばれる。パソコン通信の時代に小規模なものとして誕生したが、インターネットの発達により「2ちゃんねる」等の巨大掲示板群の発生に繋がった。その匿名性のため“荒らし”や犯罪予告等が問題となり、ネットの闇として扱われることも多い。

新しい Communication へ

SNS の利用者数は増え続けている。しかし、SNS を利用している人は社会的にはまだ少数。とても流行と言える域ではない。

それでもここ半年では、GREE は 8 万人、mixi は 40 万人もの新規利用者をえて、SNS 自体のパイも大きくなっている。それはなぜか。

mixi を運営する 株式会社イー・マーキュリー笠原健治社長は、その理由は「 SNS が社会に新しい価値を発信しているから」だと言う。

また、GREEmixi の最初期からのユーザーであり、『縁の手帖』という SNS についての本の著者でもある、慶應大 4 年の原田和英さんは SNS の将来についてこう語った。

SNS の登録者がまだまだ少ないのは利用価値がないからではなく、メディアに大きく取り上げられていないから。SNS はその便利さだけでも十分利用価値はあり、これから利用者はもっと増えていく。さらに、近い将来 SNS はただの『流行』を超えて、システムが社会に応用されていく。そのとき SNS は、(携帯電話の)メールのように使われることになるでしょうね」


今年(2005年)の 1 月上旬、GREE を介した 1 つのメールがあった。

『突然のメールすいません。緊急で、協力してもらいたいことがあります……』

一橋通信の代表と編集長のファーストコンタクトだった。 こんな出会いが、今後、世界中に広まっていくのかもしれない。

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Last Updated: 2009-06-25T03:52:42+09:00 (Thu)